外皮計算に使えます|ηAC値を理解して外付けブラインドの有効性を確認

投稿日:2024年02月21日 投稿者:外商二課
カテゴリー:雑記 | passiv material

外付けブラインドは、住宅の性能評価において重要な役割を果たします。

UA値とηAC値という指標が、外皮性能を評価する際に用いられます。

さっそく、これらの概念について詳しく見ていきましょう。

 

UA値(ユーエー) (外皮平均熱貫流率)

    • UA値は、外皮の平均熱貫流率を示す指標です。
    • つまり、室内と外気の熱の出入りのしやすさを表します。
    • UA値が大きいと、断熱性能が低いことを意味し、UA値が小さいと、断熱性能が高いことを意味します。

ηAC値(イータエーシー) (冷房期の平均日射熱取得率)

    • ηAC値は、冷房期における平均日射熱取得率を示します。
    • つまり、太陽日射が室内に入りやすさを表す指標です。窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した指標となります。
    • 値が小さいほど日射が入りにくく、遮蔽性能が高いことを意味します。

窓を閉め切った状態でのUA値とηAC値から室温上昇ΔTを求めるチャート 日平均の室温上昇(=ΔT [K]= TRーTO)がある数値以上(10K程度が目安)になれば、「オーバーヒート」しやすいと判断されます。

 

なぜこれらの値が重要なのでしょうか?

 

それは、日射遮蔽を考慮しない場合、オーバーヒートという問題が発生するからです。

オーバーヒートは、住まいが暑くなりすぎる現象で、住宅の快適性を損ないます。

 

 

具体的な例を見てみましょう!

 

6地域に建つとある住宅のUA値が0.30(等級6と7の間)で、

外付けブラインドの有り無しで外皮計算がどのように変化するのかを見ていきます!

 

 

 

 

外付けブラインドを設置しない場合、ηAC値は1.2となり、冷房負荷は1906 kWhとなります。

 

 

 

ΔT(室温上昇)は20K近くになり、オーバーヒートを防ぐために日射遮蔽物が必要と判断されます。

 

 

一方、南面に外付けブラインドを設置した場合、ηAC値は0.7となり、

冷房負荷は1447 kWh、ΔT(室温上昇)は10K程度に抑えられます。

 

 

 

 

断熱性能の高い住宅において、

外付けブラインドは効果的な対策となります。

 

 

シミュレーションによって確認をすることができますが、

「完全にオーバーヒートがなくなる」とか、

「冷房が全く不要になる」ということではありませんが、

UA値とηAC値をバランスよく掛け合わせることで、

住まいの快適性をグンと引き上げることができます。

 

 

外付けブラインド提案のロジック

  • 冬の暖房負荷を下げるには日射取得が必要である
  • そのため南面に大きな窓を設ける必要がある。(パッシブ設計)
  • 日射取得率が高いガラス+断熱性能の高いサッシを使う。(暖房ηACを稼ぐ)
  • いっぽうで家の断熱性能UA値が上がる程、オーバーヒートしやすいという懸念がある。
  • そのため、日射遮蔽が必要である。(冷房ηACを下げる。)
  • 断熱等級6.5(UA値0.3)の家では、外付けブラインドの有り無しで、室温上昇が約10Kも違う。
  •  

サーモカメラで見ても外付けブラインドの有り無しでは、10℃以上の開きがあるので、シミュレーションはあながちずれてはいない。

 

UA値とηAC値とをどちらか一方を追求してもバランスのよい住宅はつくれません。

UA値とηAC値とをバランスを保ち、快適な住まいを実現しましょう!

 

臼井

お問い合わせはこちら