欧州の家はなぜブラインドを外に付けるのか?
カテゴリー:雑記
日本の住宅では、「ブラインド=室内に取り付けるもの」という認識が一般的です。
でも、ドイツなどの欧州の住宅では、ブラインドは外に付けるのが当たり前。
「なぜ、わざわざ外に?」
その疑問には、環境・文化・性能という3つの視点から納得の理由があります。
今回は、欧州に根づく“外付けブラインド文化”にスポットを当てて、日本の家にも活かせるヒントを探ってみます。
日射を遮るなら、外で防ぐのが鉄則
日本の多くの家庭では、夏の暑さ対策に「遮熱カーテン」や「内側ブラインド」を使いますが、実はこれは**“手遅れ”**な対策。
太陽光は、窓ガラスを通った時点でかなりの熱を室内に伝えてしまうのです。
欧州ではこの点を熟知しており、“熱は室外で防ぐべし”という考えが徹底されています。
外付けブラインドは、太陽光が窓ガラスに当たる前に反射・拡散させるため、エアコンに頼らず室温上昇を抑えることができます。
「ブラインドは“室温を下げる”のではなく、“室温を上げない”ための設備」
これが、パッシブハウスの原則にも合致する考え方です。
. パッシブ設計と密接な関係
欧州では、”高断熱・高気密の住宅設計(いわゆるパッシブハウス)”が一般的。
こうした住宅は「断熱性能が高い=いったん暑くなると冷めにくい」ため、そもそも室内を暑くしない工夫が重要になります。
その最たる手段が「外付けブラインド」や「外付けシャッター」。
風通しの良さ、角度調整による採光制御、外観に馴染む意匠性などから、固定の庇やひさしよりも柔軟性が高いのも欧州で好まれる理由の一つです。
プライバシーとデザインの両立
外付けブラインドは「遮熱」だけでなく、「プライバシーの保護」と「外観デザイン」も兼ね備えています。
欧州の都市部や集合住宅では、通行人の視線を遮りながら、光や風を取り入れる必要があります。
ルーバーの角度を調整すれば、外からの視線をカットしながら、室内は明るく快適。
さらに、アルミ製のシャープなブラインドが建物のファサードに一体感を与え、住宅の意匠性を高めるデザイン要素としても注目されています。
日本でも“外付け”は当たり前になっていく?
最近は日本でも、ZEH(ゼロエネルギーハウス)や高性能住宅を中心に、外付けブラインドを取り入れる動きが増えています。
断熱材や窓の性能だけではカバーできない「日射制御」という課題に対して、外から防ぐという欧州型のアプローチが見直されているのです。
冷房費の削減、快適性の向上、外観の美しさなど、取り入れるメリットは十分。
まとめ
欧州の住宅が「外付けブラインド」を選ぶのは、単なる文化の違いではなく、環境に適応した合理的な選択です。
私たちも、「内側でなんとかする」ではなく、「家そのものの仕組みで暑さをコントロールする」という視点に立てば、日本の家づくりもより快適でサステナブルな方向へ進んでいけるのではないでしょうか。
OK-DEPOT 中野